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2008年08月22日

由緒正しい琉球菓子「きっぱん」「冬瓜漬け」

琉球、アフタヌーンティー」の8枚目。手前の3つは「冬瓜漬け」、奥の2つは「橘餅(きっぱん)」。
これまで、このフォトレターで紹介した数々の琉球菓子と一線を画する由緒正しさ。正統京菓子とも並び称される「知る人ぞ知る」お菓子です。
現在、伝統を真摯に守り、製造しているのは、今回、訪れた「謝花きっぱん店」さん、ただ一軒のみ。

橘餅(きっぱん)は、白い砂糖の衣装に覆われた円盤状のお菓子です。
作り方を紹介しましょう。
沖縄産の柑橘類の果汁を絞り、種を取り除き果肉や皮などを刻みます。
砂糖を混ぜてこねます。手のひらにのる程度の円盤形に丸めて表面を乾かします。
最後に砂糖衣でくるみます。
(実際はもっと複雑な工程です。簡略に記しています。)
できあがるまで数日を要します。家庭で真似できるものではありませんね。
写真は放射状に切ったもの。甘みのなかに、(上質なマーマレードのような)ほんのり柑橘系の苦みが香しい。高貴な調和だと思います。

冬瓜漬けはシブイ(冬瓜)をあく抜きしてから砂糖だけで数時間煮詰めたものです。(イメージ喚起のために例示すると)「アンゼリカ」に近いかも。でも、もっと奥ゆかしさを感じます。透明な琥珀色も綺麗です。

ともに、少しずつ上品にいただくお菓子です。
写真や説明だけではなかなかイメージしにくいと思います。でも、けっして、柔らかい「フルーツゼリー」を想像しないように。高密度な食感です。果実の滋味も濃厚です。

製法は、今から300余年前に中国の福洲から伝授され、琉球王朝のなかでも高位の人々のみが口にできたそうです。琉球王朝時代には尚家(※)から将軍家を通じて皇室にも献納されたと伝えられます。
実は、最近でも宮家の方々がお忍びでお寄りになったそう。どなたかは記しませんが、お店でそのときのお写真を拝見させていただきました。

穀物の粉も豆類も卵もミルクも使用せず、植物の果実とお砂糖だけで作るお菓子は貴重な存在。日本のお菓子文化を究めたい方は、ぜひ、訪れてください。
本格的にお茶をたしなまれる風雅な方へのお土産にも喜ばれると思います。実際、京都でのお茶席のお菓子として、名刹大徳寺からも称賛を受けているとのこと。

丹精込めた手作り。手間と時間、そして、熟練の技術を要するそうです。子どものおやつではありません。大人のお作法でいただいてくださいね。

▼補足知識!・・・・・・
沖縄は柑橘類の種類が豊富。シークワーサーやタンカンが有名ですね。「きっぱん」作りには、「クニブ(九年母)」を使うとのこと。ミカンに近い種類です。
冬瓜は漢字に反して夏の野菜。浅漬けや中国料理でおなじみ。沖縄では「シブイ」と呼びます。フォトアルバムの背景に見える緑色は店内にディスプレーされていた冬瓜です。
・・・・・・・・・・・・

追:
ご主人はじめお店の皆さまは、伝統を守る誇りに満ちた表情が印象的でした。でも、とっても気さくに接していただきました。貴重なお話をいただきありがとうございました。
カシカシスタッフは、現地でさまざまにご協力いただいた沖縄の皆さんへのお土産に購入。沖縄の皆さんにとっても珍しいお菓子。その味にうなっていました。ちなみに、冬瓜漬けは冷やしても美味しいです。

※尚家:約400年の間、琉球王国を統治した王家。

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謝花きっぱん店 (じゃはなきっぱんてん)
〒900-0014
那覇市松尾1-5-14
Tel:Fax 098-867-3687
営業日などはお問い合わせください。

→アクセス
国際通りの「ホテル国際プラザ」(9階建て)のある角を曲がってください。
(県庁から向かうと右折、三越方面からだと左折です。)
ゆるい上り坂の右側を歩んでください。
左から広い道が合流する場所の手前右側です。

※お店は販売店ですのでティールームなどはありません。
カシカシスタッフは店内の小さなテーブルでお茶といっしょに試食させていただきました。
ありがとうございました。
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▼写真ではわかりにくいのですが、奥の2きれが「きっぱん」。表面が白い砂糖で覆われています。ともに、見かけからは原料が何かはわかりません。
由緒正しい琉球菓子「きっぱん」「冬瓜漬け」


▼お店の奥にざるで乾かされている「冬瓜漬け」。もちろん保存料などは無添加。鮮度のよいものを食してほしいとの願いから、必要以上の作り置きもしないそうです。
由緒正しい琉球菓子「きっぱん」「冬瓜漬け」


Photo:Tsunetaka Shimabukuro



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